カットソーの知識
技術活用方法
Vゾーン装飾
昔からネクタイ・アクセサリー・スカーフ・補整下着などで胸元を飾るのは、第一印象を良くするための基本となっています。
人から最も視線が寄せられる部分のひとつに胸元(Vゾーン)があります。この胸元のVゾーンをどのようにつくるかで、自分の第一印象が変わります。さまざまなシーンにおいて、つくりたい印象は様々ですが、人に印象を与える点では、視覚的要素である色・柄・装飾が大きなポイントとなります。つまり、Vゾーンの見せ方が、自分の印象をどう決定づけるかを助けてくれるのです。
フォーマルからカジュアルに流行が移り行く中、「カジュアルな服でVゾーンを華やかに」という動きに対して柔軟に対応できるのがカットソー素材です。
例えば、Vゾーンに異素材を使用する。レース・フリル・ビーズをつけるなどは、フォーマル生地でも出来ますが、柔らかさや遊び心をもって、無限大に表現できる素材はカットソー素材が最適です。そこに、第一印象が良くなる装飾が加われば相手に与える印象も大きく変わってきます。
"若々しく健康的な素肌"は女性の永遠の憧れです。Vゾーンを美しく見せることで、もっとも年齢が現れやすいデコルテを美しく印象付けていくことが大きなポイントとなっていきます。
ボトルネック
アパレルメーカーさんのプロジェクトで、ボトルネック(ボトルの口のような形の衿)の完成度を高めることが最初の仕事となりました。
ボトルネックとは、首に沿って生地が少し立ち上がるラインのことです。ニット生地では、生地が柔らかく同じ形状を保ち、立ち上げることが難しいものでした。しかも、人の首周りは非常に敏感で、固すぎると痛く感じ、柔らかすぎると形状が崩れてしまうという問題もありました。服としてVゾーンは目立つ場所であり、その服の評価が決まってしまう場所でもあります。
カットソーは、柔らかく伸びがあります。生地の縮率が大きく異なる素材が多く、染め色でも縮率が変わるニット素材を立ち上げるのは容易ではありません。それを首の部分からシャープに立ち上げるのですから、立体裁断だけでは形状が保てません。生地の縮率もそれぞれで、伸びを止めてからパターン通りの縫製誘導線をつくります。ネックラウンドがパターンより1cmでも大きくなると、シャープ感が無くなるため、パターン通りの正確な縫製が求められる部分です。
芯地を貼る作業によっても縮む場合や伸びる場合がある為、芯を貼ってからの整形が必要でした。芯地の強度についても思考錯誤が行われ、見返しと表地に貼る芯の強度を変更するなど、見返しで形状を保つ工夫をしました。見返しとは、ブラウスの襟や、コートなどのボタンを止めるところについている布の事です。布はしを始末する方法の一つで、補強する役割もあります。
この場合の見返しは、布端始末と同時に、ボトルの口の形状を維持するために大きな役目があります。生地により芯地の強度やソフト感を変える必要があり、表地は8パーツを縫い合わせするので、洗濯などで形状が変わらないように、ネックに沿って1枚で立ち上がる構造が必要となりました。
芯地での補強も行いましたが、その芯地の素材選びから始まり、必要な箇所のみ二重に貼る作業を行いました。表地と見返しの形状が違うことで、ミシンで見返しを止めることが出来ません。見返しを止めなければ、着脱の時に邪魔になります。
しかし、見返ししなければ、服を着た時にボトルネックの良さであるネックの締まり部分に歪みやえくぼが出来てしまします。したがって、糸をゆるくする手マツリが必須となりました。
さまざまな試行錯誤により、完成度を高めることに成功。ボトルネックは大ヒットし、自他認めるボトルネック加工のプロフェッショナルになりました。
スキッパー
ヤングのカットソーにスキッパー(シャツ衿)の流行の兆しが出てきた頃、共生地で芯を工夫する動きがありました。
ボトルネックで苦心した思いが甦り、衿と前たて部分は、共生地ではなく異素材の布帛を使用すると衿が立ち上がり、Vゾーンも華やかなものになります。
当時、ニット生地と織物生地は別扱いされることが多く、生地のコラボ発想はあまりされませんでした。原価を抑えるためもあり、ボトルネックに代表されるように、同素材に芯地を貼り強度を増すのが一般的でした。芯地を貼って部分的に強度を増すほうが良いデザインもありますが、スキッパーに関しては、衿は別物扱いをされたほうが、見栄えプラス強度のある素材が無数に選べる良さがあります。そこに気がつかず、同じ素材を使い強度を増す方法をデザインすると、縫製工場への心労や工程増が考えられた為、デザイナーさんへこちらから異素材でのデザインを提案することにした。
その後は、デザイナーさんのデザイン力の本領発揮です。たちまち、その年はその形がメインになりました。
ゴムシャーリング
Tシャツなどのニット生地は、横に伸縮する特徴があります。多くの素材が、縦方向に伸び縮みはありません。
神戸のヤング系のアパレルメーカーさんの企画に参加させてもらった時のこと、「カットソーの特質を活かして、脇が伸びたり縮んだりするTシャツが作りたい。」「縦も横も伸びるTシャツが作りたい。」という依頼をうけ、縦伸びの試作をするために、Tシャツの胴長の部分だけを何度も作り提出しました。(縦に長い筒状のもの)
脇の縫い代の中にゴムを隠し入れ、長方形の生地が縦方向に半分の長さになるように。ルーズソックスの洋服版というイメージです。これにより、伸び縮みする脇の使用を完成させました。
その後、全身にシャーリングゴムを忍ばせる服にまで発展。ルーズがテーマの時代だったので、脇・袖・肩・アームホールなどにゴムを隠し入れる仕様や、ボーダー柄やストライプ柄のように、シャーリングゴムで縮ませるファッションも登場し、ヤングのヒット商品になりました。
その後、真似する商品が多く出てきましたが、脇にゴムを縫いつけただけで、裏の見栄えが悪いものが多く、完成度を求めるプレタの方々には違いを感じてもらえました。
その技術をミセス系の方に売り込むと、大変気に入ってもらい、シャーリングゴム加工の依頼が急増しました。
レース
こんな経験はありませんか?
- 総レースの服が予定より小さくなってしまった。
- 襟ぐりに使用したレースが固くてチクチクする。または、柔らかすぎて、垂れ下がってしまう。
- レースの花柄をポイントにもってきたのに、花の形が何か変だ。
- レースの花びらをミシンでステッチしたら、染まっていない白の部分が見えてきた。
- 発注したレースの長さより、短くなって納入され、再発注したら、染代を新たに請求され、色ぶれもした。
これらの原因は、レースの色染めの時に起ります。染料が濃い色の方が、縮みや染料落ちや色ぶれ、染まりが不十分などの問題が多く発生します。薄い色はしっかり染めたり洗ったりする必要がないという違いです。
| ☆小さくなった | 染めれば繊維が収縮し固くなることを、頭に入れながら出来上がりの風合いを必ずチェックしましょう。染色により、伸縮性が変わる場合があるので、裁断する前には全色点検をしましょう。 |
|---|---|
| ☆チクチクする | レースを作る際の綿のオガクズが混入しているか、繊維にノリ付けしたような状態になっていると思われます。もう一度、レース屋さんに相談してみましょう。 |
| ☆垂れ下がる | レースの風合い自体が襟ぐりに適していない場合が多いと思います。短期的には、ノリづけをする方法がありますが、洗濯をした後はまた垂れます。細幅花柄レースなどを襟ぐり寸法に合わせて重ね付けするという、強度を増す方法もあります。 |
| ☆色ブレ | 一枚の服にレースを所々使う場合は、必ず同じ窯で染めたレースを使用しましょう。 |
| ☆花の形が違う | 染めて洗った後、板に巻きつけて収納するときに、横伸びする場合が多いと思います。薔薇の花などが楕円形になることは、よくあることです。レースを染める前に、長いままのレースを発注するのではなく、部分使いの形にカットして納品してもらう約束をするか、霧吹きで水に浸しながら、アイロンで少しづつ元の形に修正しましょう。 |
| ☆染が不十分 | 切る前にチェックし染め直してもらうことがベストです。そのまま使用する際には、ステッチする場所の工夫が必要だと思います。 |
| ☆色が違う | 色ものは白のレースを染めるので、ほとんどが縮むか、板で伸ばされたことで長さが変わります。それを見越した長めの発注が良いと思います。不足が出て再発注をすると、新たな窯代を請求されることになります。染めた窯が違うと、色が変わります。一枚の服には、同じ窯で染めたレースを必ず使用しましょう。 |
レースはとても繊細で、色々な顔をみせてくれます。
図面どおりに全てが納入されるという固定観念を捨てて、生き物だと認識してください。
個性を引き出すデザインで、レースの良さを活かしてください。













